慢性疲労症候群の実態から視えた心療内科と精神科の見方の違い

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慢性疲労症候群の実態から視えた心療内科と精神科の見方の違い

うつ病患者 佐藤理恵
2010年10月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

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9/13付、Vol. 291 慢性疲労症候群の実態を描くドキュメンタリーを読み、そして筆者 篠原三恵子様がご紹介していたブログを読み、しばし、混乱に陥ってしまった。

まず、慢性疲労症候群で苦しむ皆様にその苦悩と生活に対し、大変な思いをされていることを十分承知し、理解したことをお伝えしたい。
また、思いがけず慢性疲労症候群という病気がどういうものであるか知るに至り感謝を申し上げる。

私は、普通のうつ病患者であり、精神科に罹っている。
実は、私の親族は慢性疲労症候群と診断され、専門の心療内科に罹っている。

別居のためよくわからない部分もあるが、親族が診断されるに至った経緯を少し説明したい。

仕事で過重労働をした結果、1年後辺りからたまに微熱が出るようになる。その後、微熱が下がらず内科にて検査をしたが原因不明。
精神科のクリニックを受診し、休職に入る(この時の診断名不明)。
その後いろんな経緯を経て心療内科に罹り、慢性疲労症候群と診断され、今も継続受診中である。

何故、私が混乱に陥ってしまったかというと生活が著しく損なわれるほど強い疲労というものはない状態で、調子の良い時は旅行に出かけたり、驚くかも知れないがマウンテンバイクで長距離を走る事もあるのである。

しかし、専門医に罹り血液検査などもしており慢性疲労症候群の根拠があるから正しい診断であると考えている。

さて、私の罹っている精神科からの見方だと調子の悪い時は身体が重く寝てばかり。そうかと思うと旅行に出る。私は双極性障害、いわゆる躁鬱病を疑った。

この件に関し、私は自分の精神科の主治医にセカンドオピニオン的に話を伺った。微熱が出るという症状は慢性疲労症候群ではよくある症状であるが、実はうつ病でも微熱を訴える患者はいるとのこと。

また、私の予想は的中し双極性障害(?)型であろうとのこと。双極性障害(?)型を見極めるのは大変難しく、大抵調子の悪い時に受診するため、単純なうつ病と診断されることが多い。そのため、たまに驚くべき元気な部分(いわゆる躁状態)が出ることを見落とされ治療が遅れてしまうのである。

ちなみに、うつ病の私は今は薬物治療の結果体調は良いが、最悪な時には身体が重く、少し動いただけでものすごい疲労。寝たきりになることもあった。そのため、体調は良いものの静養を必ず取り無理はしない。自分で抑えてコントロールをしている。

今回の症例においては、精神科では双極性障害(?)型と病名がつく可能性が高く、慢性疲労症候群とはつけないとのこと。
しかし罹っている診療科が心療内科のため、慢性疲労症候群と病名が付けられたのであろう、という話であった。

ただ、心療内科に罹ってはいるが双極性障害(?)型をコントロールする処方をしっかりされており、全くを持って問題はない。それどころか精神科でも難しいこのような症状を的確に見極めている。これは、心療内科医師が精神科部分の知識もあったからであろうと考える。

精神科ではよくある話であるが、単純にうつ病だけという患者だけではなくこれに人格障害があったりしてシンプルなパターンというものはない。
よって、「慢性疲労症候群」でもあり「双極性障害(?)型」というパターンも有り得る話である。

慢性疲労症候群の方達が患者自身に問題があると報道されて大変嫌な思いをされた気持ちは痛いほどわかる。私、うつ病患者も散々な偏見を持たれ腹立たしい思いをしている。気持ちは同じである。

ただ、心療内科と精神科がまたがったパターンもあることを考えるとまず慢性疲労症候群を正しく診断できる研究・専門医の養成に国は力を入れてほしいこと。

そして、心療内科と精神科では学会が異なることもあり、それが慢性疲労症候群の診断の遅れにも繋がっていると考えられるため、両科が連携してカバーし合い、難しい疾患を迅速に診断するような患者第一に立った協力体制を構築していただきたく思う。

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