診療報酬の包括化決定

診療報酬の包括化決定

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9月29日の中医協で診療報酬の簡素化=加算等の減少統合が決まった。
原価=「出来高」が議論されていると同時に、「包括化」が賛成されるとは
一応2号側が包括化されても「コストをいれるべき」とはしているが、
理解しがたい。。

2010年9月29日 第179回中央社会保険医療協議会総会議事録

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○遠藤会長
●本日決まったこと
1つは、診療報酬の体系について、簡素化の視点から見直していこう

○白川委員
基本診療料について、あるいは加算も含めて、簡素化とか統合とか、一般の
患者の方々が分かりやすい体系に整理をしていただく

○嘉山委員
 これは加算でやるべきではないと我々も思っていて、そこにキャピタル
コストも入れていったらいい、プラスは。

○邉見委員
 私も白川委員の御意見には賛成です、コスト調査がないと、そういう統
一ができないのじゃないか。

○西澤委員
 全く賛成で、私も加算はできるだけ少ないほうがいい

診療報酬は全体でみてくれ

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医療課長でございます。
診療報酬の個々の料金が一定程度の全部のコスト勘案をした上で設定をさ
れているというよりは、むしろ全体としての経営状況を踏まえ、それから
その時々のプライオリティーを考えながら配分をしているというのが実態

コスト分化会のコスト調査は診療所ははじめから除外

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○事務局(屋敷保険医療調査室長)
今の調査自体は診療報酬の単位でのコスト算出という掲示はされていない。
調査はDPC等の規模の大きい病院を中心とした調査となっている、診療
は調査対象から除外

・第179回中央社会保険医療協議会総会議事録
http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=156447
○ 医薬品の薬価収載について
○ 先進医療専門家会議の検討結果等について
○ 医療機器の保険適用について
○ 歯科技工加算創設の影響調査に係る検証調査票について
○ 初再診料や外来管理加算、入院基本料等について
○ その他
○千葉福祉医療機構経営企画課長
 一般に、借入金の元金の返済というのは減価償却費で行う「元金償還分は」
と書いてあって、一般病院7.3%、これはどういうことかといいますと、左
の絵でいう元金償還分というこの箱の大きさがその右側にある医業収益に対し
て何%の割合を占めているかというものになります。それで、一般病院では7.
3%、療養等では7.9%等々という形で書いてあります。その次の行のとこ
ろの真ん中あたりに、今度は「減価償却分は」というふうに書いてありまして、
これで一般病院では4.8%等々というふうに書いてあります。

●つまり、これは何が言いたいかというと、今申し上げたように、減価償却
けの内部留保資金では借金の返済元金は返せないということが分かるわけです。
つまり、一般病院では償還しなきゃいけない額は7.3%もあるのに、減価償
却で留保できるのはたかだか4.8%にすぎないというのが現状であるという
ことになります。このデータは、先ほど申し上げましたのは、私ども貸付先の
毎年1回、債権回収確実性を見るために決算書をいただいているんですが、そ
れの全国平均のデータになっております。

○小林(麻)委員

● 今お話を聞いておりまして、2つの視点があるだろうというふうに思いま
す。1つは、国民が必要十分な医療サービスを受けるために必要とされる医療
コストが現在リカバーされているか、回収されているか、保障されているかと
いう観点で診療報酬を考えるということですね。それからもう一つは、提供し
た医療サービスに見合った診療報酬が設定されているかどうか。これは企業で
いえば付加価値の部分の評価がきちんとされているのかということの2つの段
階を考える必要があるだろうということだと思います。

○鈴木委員

● 我々は、収入というのは診療報酬がほとんどなので、これが公定価格で抑
えられていますから、価格を決めてそれで収入をふやすということはできない
わけです。それと、普通の株式会社等でしたら、株式を発行したりとか債権を
発行したりとか、そういう直接金融というんですか、そういったことで資金を
調達することもできるわけですが、我々は金融機関、福祉医療機構も含みます
が、そういったところからの間接的な融資が事実上はすべてでございますので、
そういったところに頼らざるを得ない。そうすると、ここにも出てきますよう
に、損益計算書では分からない借入金元金返済というのが非常に重くて、キャ
ッシュフロー計算書を見ると愕然とするわけでございます。我々の経営が、一
般病院、特に経常利益率が0.2%、0.3%ということは、ほとんど利益が
出ない状態であるということで、非常にキャッシュフローはマイナスという状
況が続いていたわけです。

○千葉福祉医療機構経営企画課長● お答えさせていただきますが、今のお話
で申し上げますと、先ほどのスライド5番のところの償却超過分というところ
がまず一つのメルクマールになるのではないか。つまり、これはあくまで単純
再生産をするときに資金繰りが行き詰まらなくなる最低でも必要な利益という
ところで、イメージ図の左下のほうに書いてある最低確保利益、これはまずは
要るだろうと。
 ただ、それだけで物事進むかというと、当然、医療技術も進んでいって、種々
多様な追加設備投資もいるでしょうし、また設備が多くなればなるほど修繕・
維持に係るコスト、または突発的ないろいろなリスクに対応するコストという
ものでの準備というのが必要ですから、この絵でいう、償還分の下に書いてあ
る「内、留保分」というところ、これもやっぱりある程度一定額は必要かとは
思われます。詳細にこの「内、留保分」がじゃあさらにどれぐらいかというの
は、ちょっと今手元に考え方を持ち合わせておりませんが、概念的にはそうい
うものは必要ではないかというふうに思っております。

○千葉福祉医療機構経営企画課長● 先ほど申し上げたように、まず最低限、
単純再生産で必要となるキャッシュフローが回る利益率という意味では、この
下に書いてあります一般病院では利益率換算にして2.5%、療養型病床で3.
4%、精神病院でも1.8%は最低利益がないと─これはあくまで平均ですか
ら、個々の事情によってケース・バイ・ケースだろうと思いますが、平均とい
うことで見たときにはこれぐらいの利益率は要るだろうと思っています。

○西澤委員
 最低2.5%と言いましたが、2.5%では継続できますかという質問です。

○千葉福祉医療機構経営企画課長● そういう意味では、先ほども申し上げた
ように、あくまでこの2.5%でいくというのは借金返済を滞りなくするとい
うところだけのレベルでありますから、経営を脅かすリスク要因というのは資
金繰りの行き詰まりだけは当然ありません。そういう意味では、それ以外のリ
スク要因に備えるリスク対応分の利益というのは一定分、最低確保利益として
はこれ以外に必要なのではないかというふうに思います。

● 医療課長でございます。
 基本診療料の中で各種コストがどのように評価されているかということで、
私の説明の中にもありましたけれども、入院基本料については、先ほど申し上
げたように室料、医学管理料、看護料について、過去ばらばらにあったものを
一緒にしたという経緯がございますから、一定程度はそこの部分は分かれてい
るということだと思いますけれども、概略的に申し上げて、基本的には診療報
酬の個々の料金が一定程度の全部のコスト勘案をした上で設定をされていると
いうよりは、むしろ全体としての経営状況を踏まえ、それからその時々のプラ
イオリティーを考えながら配分をしているというのが実態でございますので、
この各種コストがどの程度基本診療料の中に入っているかということを詳細に
明らかにするというのは、なかなか難しい面もあるのではないかというふうに
思います。

○事務局(屋敷保険医療調査室長)● (2)のコスト調査分科会の再集計、
これは具体的には部門別収支の再集計のことだというふうに受けとめておりま
す。この点につきましては、先ほどの小林委員のほうからの御説明の中にあり
ました、医療サービスの部分原価、それを診療行為とトレースしていくという
ところが実際にできるかどうかという現実性にかかっているというふうに理解
をしております。現行の部門別収支の調査はそれぞれの部門ごとに収益と費用
を配分していくと。配分のルール、計上基準ということでございますが、それ
はレセプトの点数比でありましたりあるいは延べ床面積でありましたり人数比
であったりというふうな形での配賦を収益、費用で行っているというような形
であり、今の調査自体は診療報酬の単位でのコスト算出という掲示はされてい
ないということでございます。また、実際に部門別調査の調査はDPC等の規
模の大きい病院を中心とした調査となっているということであり、歯科、診療
所につきましては調査対象から除外をされているという事実もあります。

○白川委員
 今、会長が言われたように、コスト調査分科会に少し投げてみるかというア
イデアについては特に否定するものではございませんので、やっていただいて
構わないとは思うんですが。今、嘉山先生とかそれ以外の先生も国民がどうだ
こうだというふうにおっしゃったんですけれども、我々が一番病院等に行って
分からないのは、加算とか何とかが多過ぎて、A病院に入院したときとB病院
に入院したときに料金が違うというのが一番分からないんですよ。ですから、
私どもとしては、もう少し基本診療料について、あるいは加算も含めて、簡素
化とか統合とか、一般の患者の方々が分かりやすい体系に整理をしていただく
と。こちらの議論のほうが国民からのニーズとして、私は優先課題ではないか
なというふうに考えておりますので、ちょっと意見を述べさせていただきます。

○嘉山委員
 これは加算でやるべきではないと我々も思っていて、今、白川先生がおっし
ゃったような、やはりある医療行為に対して診療報酬を決めていくというのが、
それが基本だと思います。ただ、そこにキャピタルコストも入れていったらい
いのではないかというのが我々の考えなんですよね、プラスは。


○邉見委員
 私、何回も、以前にも申し上げたか分かりませんが、兵庫県国保の審査委
員を18年間やりましたけれども、青本(診療報酬点数表)確かに分厚くて、
いろんな体系があって分かりにくいです。専門家でも分かりにくいですから、
国民も入院しても何が何か解らないし、恐らく明細書を見ても解らないことが
多いと思いますね。だから、本来ならば、我々病院団体は入院基本料で一定的
にちゃんとやってほしいと。いろんな差は何段階あるかは分かりませんが、加
算というのはほとんどが取れないようにしていると。医療費抑制策のために加
算で制限つけて、算定要件、施設基準という2つを合わせて加算を取れない項
目をいっぱいつけていったというのが、この15年間か20年ぐらいの流れな
んですね。だから、私も白川委員の御意見には賛成ですが、そのためにはやは
りコストを入院基本料がどれぐらいかというコスト調査がないと、そういう統
一ができないのじゃないかなというふうな感じはしますね。

○西澤委員
 恐らく、今まで加算というのは、本当に事務局がいろいろ考えて、それなり
にどこかに経費がかかった場合には必要だからということでつけたと思うんで
すが、逆にあんまりあり過ぎて、複雑になって逆に現場は困っているというこ
とがあります。白川委員の意見に全く賛成で、私も加算はできるだけ少ないほ
うがいいということなので、今後は中医協の議論の中で、加算がなくても分か
りやすく、また1号側も2号側もきちっと納得のいくような点数づけをここで
ぜひしていただければと思います。
 以上です。

○遠藤会長
 それでは、加算に限らず、非常に多岐にわたってしまっている診療報酬体系
については、具体的にどこまでするかはともかくとしまして、整理をするよう
な視点で議論を開始するということは両側の合意事項と理解してよろしいでし
ょうか。
 では、そういう形でいずれ議論をするということにしたいと思います。

○白川委員
● どうもありがとうございます。そういう
ことで、加算だけではないと思いますが、簡素化の方向でぜひ建設的な議論を
させていただければというふうに思っております。
 事務局に資料のお願いでございますが、私が気にしておりますのは入院基本
料に関する加算でございまして、A3の紙でもまとまらないぐらいのすごい項
目があるんですが、実際の算定件数がどれぐらいあるのかというのをぜひ、レ
セプトも電子化されたことでございますので、月当たりとかなんかでも結構で
ございますので、資料を出していただくようにお願いをいたします。

○遠藤会長

●本日決まったことを少し整理させていただきます。1つは、診療報酬の体系
について、簡素化の視点から見直していこうということ、そういう議論を進
めていこうということは1つ決まったということです。