日本人ピースウーマンの1人高里鈴代さんと観る    『1000人のピースウーマン

ドキュメンタリー『1000人のピースウーマン」のDVDがついに完成し、
10月22日金曜日午後6時45分から東京ウィメンズプラザ(表参道)で
完成記念上映会を行います。

沖縄から皆さんご存知の高里鈴代さん(ピースウーマンの一人)を
お招きし、ドキュメンタリー上映後お話を聞きます。
この機会をお見逃し無く!

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日本人ピースウーマンの1人高里鈴代さんと観る
   『1000人のピースウーマン』
http://www.renren-fav.org/schedule_2010_10_22.html
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2010年10月22日(金)18時45分〜

会場 東京ウィメンズプラザ(渋谷区神宮前5-53-67)
入場料:500円(介助者無料)

*この企画は、東京ウィメンズプラザフォーラムに参加しています。
(地図はhttp://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/contents/map.html

上映作品紹介 『1000人のピースウーマン』
監督:ガブリエラ・ノイハウス&アンジェロ・スクデレッティ
スイス/2005年/55分(日本語字幕)

ノーベル平和賞の受賞者はなぜ男ばかり?
草の根で活動する世界中の1000人の女性たちをノーベル平和賞候補に推薦しよう
という壮大なプロジェクトと6人のピースウーマンを紹介するドキュメンタリー

トークゲスト:高里鈴代さん
(基地・軍隊を許さない行動する女たちの会 共同代表)

長年、婦人相談員として女性たちの声に接してきた。北京会議、国連女性の地位
向上委員会、ハーグ世界平和会議などの国際舞台で日本からの発信を続け、「強
姦救援センター・沖縄レイコ」、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」
の共同代表を務める。「軍事主義を許さない国際女性ネットワーク」参加。


ーーーーー翌日23日土曜日は渋谷UPLINNKでファヴ!ーーーーー

今年も豪華ラインナップでお届けする第7回FAV&前夜祭。
どうぞお見逃しなく!
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第7回連連影展FAV in アップリンク(渋谷)

2010年10月23日(土)15:30−22:00

Feminist Active documentary Video festa(FAV)
http://www.renren-fav.org
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◆23日(土)会場:アップリンクUPLINK FACTORY
Tel.03-6825-5502 / 東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル1階
http://www.uplink.co.jp
地図→http://www.uplink.co.jp/info/map.html

プログラムA『グリーナムの女たち』*トーク(長沖暁子さん、堀川弘美さん)
プログラムB『スリングショットHIPHOP』
プログラムC『Girls Rock』*トーク田嶋陽子さん)

入場料
1プログラム1,500円(ドリンク付き)
3プログラム通し券4,000円(3ドリンク付き)介助者無料

会場でのトークの際に文字通訳等のサポートが必要な方は、事前にメール
(fav@renren-fav.org)でご連絡いただくか、会場でスタッフに声をかけてくだ
さい。また、会場に車いす等でお越しの方で、サポートが必要な方は、スタッフ
まで声をかけてください。

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<プログラム詳細>
◇プログラムA 15:30−17:15
◆『Carry Greenham Home−グリーナムの女たち』+トーク
監督:ビーバン・キドロン/日本語版制作 ウィメンズネットワーク/監督 村
志摩子/編集 矢端則子/台本 近藤和子/1986/イギリス/60分/英語(日本
語吹き替え)

1981年、イギリスのグリーナム・コモン米軍基地に巡航ミサイルが配備されるこ
とに反対して立ち上がった女性たちの反核運動を知っていますか?基地のまわり
に住みつき、フェンスをよじ登り乗り越え、フェンスを切り破り、平和のために
「非暴力直接行動」に出た何万人もの女性たち。彼女たちの精神は海を越え、時
代を越え、つながっている。

トークゲスト:
◆長沖暁子さん(SOSHIREN女(わたし)のからだから、慶応大学教員)
優生保護法」の改悪阻止や障害者とともに生きる社会作りの運動などに関わる

1984年と85年にグリーナム・コモンの女性平和キャンプを訪問。
◆堀川弘美さん(大阪大学大学院博士過程)
大分県湯布院で辺野古との連帯活動を続けている。現在大阪大学大学院で大分県
中津市の草の根活動家、松下竜一氏の思想を研究。松下竜一氏の「草の根通信」
から「グリーナムの女たち」との接点に興味を抱く。2010年9月グリーナム・コ
モン跡地訪問(予定)。


◇プログラムB 17:40−19:00
◆『スリングショットHIPHOP
監督ジャッキー・リーム・サッローム/2008/パレスチナアメリカ/80分/ア
ラビア語・英語・ヘブライ語(日本語・英語字幕)

イスラエル領内やガザや西岸地区に暮らすパレスチナラップミュージシャン
ちが投げかける言葉は占領や抑圧の不正義を訴える。移動の自由を奪うチェック
ポイントや分離壁だけでなくジェンダーや世代で分断された若者たちが音楽で礫
(つぶて)を打ち放つ。


◇プログラムC 20:00−22:00
◆『Girls Rock!』(日本初上映!)+トーク
監督 アルネ・ジョンソン/2008/アメリカ/89分/英語(日本語字幕)

8歳から18歳までの少女が集まるロックンロールキャンプ。楽器に触ったことも
ない少女たちが1週間のワークショップの後、700人の観客の前でライブを行う。
髪を振り乱し、怒鳴り合い、楽器をかき鳴らし、叫びまくる「女の子」のロック
は革命だ!

トークゲスト:田嶋陽子さん(元法政大学教授。元参議院議員。女性学研究家

フェミニズム(女性学)の第一人者として、またオピニオンリーダとして、マス
コミなどで活躍。最近は歌手活動も。最後まで自分らしく生きたい人たちのため
の「シニアハウス友だち村」提唱者でもある。

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■FAV連連影展とは?
等身大にそして雄弁に語りかけてくる映像をフェミニストの視点で集めた映画祭

作り手と観客が一緒に作るファヴは2005年にスタートし、年に数回、場所を転々
としながら上映活動を行っています。

●FAV実現に興味のある方、共催・賛同してくださる団体の方
お気楽に連絡をください(金銭的な義務はありません)。
email: fav@renren-fav.org

●賛同・カンパのお願い!!FAVの活動にご賛同いただける方、上映活動や作品
制作費用へのカンパは以下の振込先にお願いします。

三菱東京UFJ銀行 新宿新都心支店
普通口座 1217961
連連影展(レンレンエイテン)

お問い合わせ fav@renren-fav.org

主催:連連影展FAV http://www.renren-fav.org/
協力:UPLINK、ミーダーン〈パレスチナ・対話のための広場〉、
KDMLフィルム・ソサイエティ

慢性疲労症候群の実態から視えた心療内科と精神科の見方の違い

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慢性疲労症候群の実態から視えた心療内科と精神科の見方の違い

うつ病患者 佐藤理恵
2010年10月3日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

                                                                                                                                        • -

9/13付、Vol. 291 慢性疲労症候群の実態を描くドキュメンタリーを読み、そして筆者 篠原三恵子様がご紹介していたブログを読み、しばし、混乱に陥ってしまった。

まず、慢性疲労症候群で苦しむ皆様にその苦悩と生活に対し、大変な思いをされていることを十分承知し、理解したことをお伝えしたい。
また、思いがけず慢性疲労症候群という病気がどういうものであるか知るに至り感謝を申し上げる。

私は、普通のうつ病患者であり、精神科に罹っている。
実は、私の親族は慢性疲労症候群と診断され、専門の心療内科に罹っている。

別居のためよくわからない部分もあるが、親族が診断されるに至った経緯を少し説明したい。

仕事で過重労働をした結果、1年後辺りからたまに微熱が出るようになる。その後、微熱が下がらず内科にて検査をしたが原因不明。
精神科のクリニックを受診し、休職に入る(この時の診断名不明)。
その後いろんな経緯を経て心療内科に罹り、慢性疲労症候群と診断され、今も継続受診中である。

何故、私が混乱に陥ってしまったかというと生活が著しく損なわれるほど強い疲労というものはない状態で、調子の良い時は旅行に出かけたり、驚くかも知れないがマウンテンバイクで長距離を走る事もあるのである。

しかし、専門医に罹り血液検査などもしており慢性疲労症候群の根拠があるから正しい診断であると考えている。

さて、私の罹っている精神科からの見方だと調子の悪い時は身体が重く寝てばかり。そうかと思うと旅行に出る。私は双極性障害、いわゆる躁鬱病を疑った。

この件に関し、私は自分の精神科の主治医にセカンドオピニオン的に話を伺った。微熱が出るという症状は慢性疲労症候群ではよくある症状であるが、実はうつ病でも微熱を訴える患者はいるとのこと。

また、私の予想は的中し双極性障害(?)型であろうとのこと。双極性障害(?)型を見極めるのは大変難しく、大抵調子の悪い時に受診するため、単純なうつ病と診断されることが多い。そのため、たまに驚くべき元気な部分(いわゆる躁状態)が出ることを見落とされ治療が遅れてしまうのである。

ちなみに、うつ病の私は今は薬物治療の結果体調は良いが、最悪な時には身体が重く、少し動いただけでものすごい疲労。寝たきりになることもあった。そのため、体調は良いものの静養を必ず取り無理はしない。自分で抑えてコントロールをしている。

今回の症例においては、精神科では双極性障害(?)型と病名がつく可能性が高く、慢性疲労症候群とはつけないとのこと。
しかし罹っている診療科が心療内科のため、慢性疲労症候群と病名が付けられたのであろう、という話であった。

ただ、心療内科に罹ってはいるが双極性障害(?)型をコントロールする処方をしっかりされており、全くを持って問題はない。それどころか精神科でも難しいこのような症状を的確に見極めている。これは、心療内科医師が精神科部分の知識もあったからであろうと考える。

精神科ではよくある話であるが、単純にうつ病だけという患者だけではなくこれに人格障害があったりしてシンプルなパターンというものはない。
よって、「慢性疲労症候群」でもあり「双極性障害(?)型」というパターンも有り得る話である。

慢性疲労症候群の方達が患者自身に問題があると報道されて大変嫌な思いをされた気持ちは痛いほどわかる。私、うつ病患者も散々な偏見を持たれ腹立たしい思いをしている。気持ちは同じである。

ただ、心療内科と精神科がまたがったパターンもあることを考えるとまず慢性疲労症候群を正しく診断できる研究・専門医の養成に国は力を入れてほしいこと。

そして、心療内科と精神科では学会が異なることもあり、それが慢性疲労症候群の診断の遅れにも繋がっていると考えられるため、両科が連携してカバーし合い、難しい疾患を迅速に診断するような患者第一に立った協力体制を構築していただきたく思う。

                                                                                                                                                • -

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今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。
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MRIC by 医療ガバナンス学会

医療過誤」から「医療事故」に新聞報道はどう変化したか

医療過誤」から「医療事故」に新聞報道はどう変化したか
データベースを用いて日本の新聞における医療事故報道の変遷を研究
東京大学医科学研究所 
岸友紀子
本稿は2010年8月17日にm3.comの医療維新で配信されたものです。

2010年10月2日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp

                                                                                                                                        • -

医療事故(医療過誤)に関するメディア報道は、医療界に大きな影響を与えます。医療界に安全対策を促すこともあれば、防衛医療を招くこともあります。私は、この問題の研究を続け、最近、研究成果を米国の「Risk Management and Healthcare Policy誌(2010:3 33-38)」に発表しました。今回は、この発表内容をベースに、日本における医療事故報道の変遷について紹介します。

ご参考までに、アメリカでは1990年代半ば以降、医療事故対策とともに、医療事故報道についての研究が進んでいます。直接のきっかけとなったのは、1994年にダナ・ファーバーがんセンターで起こった医療事故でした。乳がん患者に対して抗がん剤が過量に投与されたというものです。この患者がボストングローブ紙のヘルスコラムニストであったため、紙面に大々的に取り上げられ、医療事故問題に対する社会の関心が高まったのです。

では日本ではどうでしょうか。それを検証すべく、日経テレコン21http://telecom21.nikkei.co.jp/)のデータベースを利用し、「朝日新聞」「毎日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日本経済新聞」の五大紙を対象として、1992年から2007年までに掲載された「医療事故」および「医療過誤」いう単語を含む記事を調べました。日経テレコン21の基本データベースには、国内で発行されている新聞紙の記事内容が登録されており、検索語を入力すると、登録されている「タイトル」「内容」「キーワード」から該当するデータが抽出されます。

日本における医療事故に関する報道は、1999年の東京都立広尾病院事件を契機に1998年の386件から1999年の1289件に急増していました。医療事故をきっかけに新聞報道が増え、一般市民の関心が高まったことは、アメリカと同様です。ただし注目すべきは、その際、我が国では、事件発生当初で正確な調査が進んでいない段階から、「医療過誤」という表現が新聞報道の大部分を占めたことです。「事故」でなく「過誤」という表現は、医療者の過失を前提としています。事件の真相が十分に明らかでない段階で、新聞がセンセーショナルに報道することは、事故に関する先入観を形成する危険性があります。医療事故の存在を一般市民が認識するのは、マスメディアを通じてであり、マスメディアの医療事故報道には一定の特徴があります。このことを、医療者も国民も、認識すべきです。

こうした我が国の医療事故の報道内容が変わり始めたのは、2004年からです。1999年から2001年にかけて、大きな医療事故報道が続き、医療事故の存在を一般市民が認識するようになりました。2004年に都立広尾病院事件の最高裁判決が下るまでは、医療事故報道は「訴訟」や「処分」にウェイトが置かれ、「システムエラー」や「原因究明」に関する報道は散発的でした。しかしながら、この判決以降、わずかずつですが、システムエラーや原因究明に関する報道が増えてきました。この状況も、アメリカと類似しています。アメリカでは、1994年の医療事故のセンセーショナルな報道を契機に社会的な関心が高まり、当初は医師の処分が注目されましたが、やがて、2000年には医療事故を減らすには背景にあるシステムエラーを考えることが重要である、というコンセンサスに到達しました。医療事故について社会がコンセンサスを形成するためには、きっかけとなる事件ならびに長期間にわたる議論が必要ということでしょう。

そしてさらに、我が国の医療報道のあり方が大きく変わったのは、2006年の福島県立大野病院産科医師逮捕事件以降です。この事件では、癒着胎盤を合併した前置胎盤の妊婦が帝王切開手術中に死亡し、担当医が業務上過失致死罪で逮捕されました。この事件をきっかけに、多くの医師が「担当医に過失がなくても、結果が悪ければ刑事処分されてしまう」と感じるようになりました。このため、多くの医師が防衛医療を行うようになり、また訴訟リスクの高い産科医を廃業しました。

当初、逮捕された担当医に対して批判的であったマスメディアも、時間が経つにつれて、この事件が我が国の産科医療システムに破滅的な影響を与えたことを報道するようになりました。現に、2006年以降の新聞報道では「医療過誤」という単語の使用が減少し、「医療事故」という単語に置き換わっていました。また、2007年から2008年にかけての同事件の裁判報道と連動して、「システムエラー」や「調査」、さらに医療事故の背景の「医師不足」「医療崩壊」などの単語の出現頻度が急増していました(http://expres.umin.jp/mric/img/MRICiryojiko.jpg)。このような変化は、長年の議論を経て医療事故に関する国民的な理解が深まってきたところに、福島県大野病院事件がコンセンサス形成のきっかけを与えたことを反映していると考えられます。

医療事故の報道姿勢については、新聞間に差がありました。「医療事故」という単語の報道量についても、総記事数に対する医療事故の記事割合が2007年で読売新聞は0.2%であったが他紙の平均は0.1%で、読売新聞が他の4紙の約2倍でした。一方、「医療過誤」という単語については新聞間に差はなく、どの新聞においても使用頻度は急速に減少していました。医療事故報道に対するウェイトの置き方には新聞社毎に差があるものの、いずれの新聞社も「医療過誤」という表現を控え、冷静に分析しようとしていることが伺われます。

医療事故は医療訴訟と密接に関連し、医療制度を破壊する潜在的な危険性を有します。医療事故および医療訴訟は「医療界と世論の軋轢」と見なすことも可能で、この問題を解決するには、これに対する世論の動向を正確に把握することが重要です。新聞は世論に大きく影響すると同時に、世論を反映するので、新聞における医療事故の報道を評価することは意義があります。しかしながら、この作業は新聞のデータベースが整備され、安価で公開されなければ、実行不可能です。今回、このような研究が遂行できたのは、日本国内で発表されているすべての新聞記事を網羅したデータベースが整備され、インターネットを用いて閲覧、検索が可能になったからです。これは、PUBMEDなどのIT技術が医学研究のあり方を変えたことと似ています。近年、医療とメディアの関係について様々な研究が進んでいますが、データベースの整備・公開は、このような研究の進行を加速するでしょう。今回は新聞を研究対象としましたが、テレビ、雑誌、オンラインメディアなどに関しても、同様の調査が必要です。このような媒体についてはまだデータベースが未整備であるため、早期の整備が望まれます。

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配信・解除依頼は info@medg.jp までメールをお送りください。手続きに数日要することがありますので、ご了承ください。
今回の記事は転送歓迎します。その際にはMRICの記事である旨ご紹介いただけましたら幸いです。
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『さらば厚労省』を書いた村重直子氏に聞く

BOOKS&TRENDS

『さらば厚労省』を書いた村重直子氏に聞く

むらしげ・なおこ●1998年東京大学医学部卒業。横須賀アメリ海軍病院
ニューヨークのベス・イスラエル・メディカル・センター、国立がんセンター
央病院などで内科医。
 2005年に医系技官として厚生労働省へ。改革推進室、大臣政策室などを経て、
内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)付。10年3月同省退職。さらば厚労省講談社
1575円/270ページ

 日本の病院で医師として経験を積み、厚生労働省に入省した元医系技官。国民
の健康よりも自分たちの都合を優先させる、その実態に「さじを投げた」。官僚
支配の「病める医療行政」に警鐘を打ち鳴らす。

「医系技官の存在が国民を不幸にしている」

−医師の資格を持つ医系技官の不要論を唱えています。

 医系技官は250人ぐらい。この存在自体が必要ない。厚生労働省は、法令事務
官(事務系公務員)とノンキャリアの人たちで回していける。医系技官が存在する
がゆえに仕事が作られ、医療に無用な口出しをし、そして崩壊を促す。実態を知
れば知るほど、存在意義のなさがわかった。


−医療行政には専門技能に長けた人が必要ではありませんか。

 この集団は“ペーパードクター”であり、専門家ではない。また、終身雇用が
前提になった利益集団においては、専門家にはなりえない。それが専門家である
ような意見を述べて政策決定に関与する。そもそも、公務員試験を受けていな
い、法律の素養がない、その2点だけでも存在意義を問われる。
 医系技官自身、その限界を知っているから、辞めていく人が少なくない。自分
たちが苦しみ、国民も苦しめている。共に不幸になるなら制度をやめたほうが
ハッピーになる。


厚労省のやるべきことは「兵站の確保」だ、としています。

 これは医系技官がいなくてもできる。もし医療の専門家の意見が聞きたいのな
ら、専門家は医療の現場にいるのだから、政治任用で連れてくればいいし、いろ
いろな会合を活用して意見を聞けばいい。
 厚労省は医療の分野でも全国一律ルールを作るやり方をする。これは、患者の
状況は一人ひとり違うという医療の現場とは、そもそも合わない。しかも「罰則
付きの通知行政」で事細かに医療の中身に口を出す。そこでは現場や患者の願い
と大きな違いが出てきてしまう。


−内部からの改革はできないのですか。

 それは構造的にありえない。自分の担当する権限の範囲内で多少のことはでき
るかもしれないが、この国の医療のあり方を変えるような、厚労省を変えるよう
なことはできない。相手は、人事権を握った大いなる運命共同体利益集団だ。
それに属しているかぎり、いつも権限拡大の方向に走ることになる。


−たとえば?

 昨年の新型インフルエンザに対する行政がわかりやすい。前近代的な「水際作
戦」はなぜ始まったか。現場を混乱させるばかりだった。「検疫した346万人の
うち見つかった患者はわずか10人」との報告もある。かえって感染する危険を増
やし、重症者に対しては死に追いやりかねない方針も打ち出した。医系技官が国
民の健康よりも自分たちの都合を優先させた結果だ。


−ワクチンの量の確保、供給のスピードでも問題を残しましたね。

 現場の混乱に加えて安全性も損ねることを承知で、方針を役人だけで密室で決
めている。
 その後もワクチン供給について護送船団方式は崩していない。国内メーカーに
補助金を出し、緊急時にも国内で生産ができるという名目を打ち立てているか
ら、輸入しない前提に向かって走っていることになる。リスクを分散させるとい
う危機管理の観点から見て、それでいいのかどうか。


−医師を所属機関が内部通報して「犯罪者」にしかねない通知行政、さらに「医
事故調査委員会」の創設の動きもあります。

 福島県立病院の産婦人科医逮捕の一件は一つのきっかけだった。医系技官は医
療現場の不確実性、遺族、医師の心情あるいは責任感をわかろうとしない。「医
事故調査委員会」創設の問題も計画自体まだ消えたわけではいない。チャンス
を狙うかのように近接のテーマでシンポジウムを行っている。今も書類送検は続
く。ほかにも、厚労省が介入することによって現場が壊されていく問題はたくさ
んある。


−その現実を少しでも改善することはできませんか。

 舛添(要一)さんの大臣就任で動きがあったように、政治任用、あるいは政治家
のリーダーシップが伴えば動かせる。政治家の立場が加わると効力は全然違う。
仲間同士で人事権を握る役人では無理だ。ただし、政治任用といっても継続性が
問題になる。


「ドクターフィー導入で勤務医不足対応も一法」

−この本で主張されているドクターフィーの導入では?

 こういう変え方があるという一例だ。おカネの流れを変えるだけで人間の動き
方が変わる。現在、医系技官が診療報酬を決めている。つまり医療の価格統制を
行っている。しかもそれはすべて込みのホスピタルフィーだけだ。現場の医療ス
タッフは、役人のニーズ判断で決めた価格に従わざるをえない。このホスピタル
フィーからドクターフィーを区別したらどうか。それによって医者がもっと自由
に医療の現場を循環できるようになる。病院勤務の医者が開業した瞬間に、ほか
の病院に勤務してはいけないというのが今のおカネの流し方。複数の医療機関
診療しても、同じように診療をした分だけの収入が入れば、勤務医不足の軽減に
も役立つ。自分のできる範囲内で多様に医療を提供し続けられる。そういう選択
肢を今、奪ってしまっている。


−子育て中の女医さんにもいいということですね。

 それこそ、医者が足りないといわれ、辞めた医者を復帰させようという話があ
るほどだ。時間と働く場を自由に選択できるようなおカネの流し方をすれば、ほ
かの仕事をしながら診療に従事したいという人はいっぱいいるはずだ。
 ドクターフィーというと、医者がまた儲けようとしているみたいなバッシング
を受けたりする。そうではなくて、おカネの流れ方をちょっと変えるだけで診療
のスタイルが変わり、医者の人生のスタイルが変わる。このことで、医療を受け
られるチャンスが増えるととらえてほしい。


−新たな感染症や耐性菌に加えて、再び新型インフルエンザの流行も心配です。

 流行があるかどうかは、予測のつかない自然の現象だからわからないが、厚労
省の対応における人為的な部分は繰り返されるおそれはある。むしろ昨年の対応
を正当化するような制度にしょうとしている。
 結局、昨年の反省はなかった。一応、総括会議をして報告書は出したが。それ
も、これからこんなことをしなければいけない、あんなことをするという、要す
るに官僚がやりたいことを並べたもの。これでは、昨年の二の舞になりかねな
い。

           (聞き手・本誌一塚田紀史)週刊東洋経済2010.9.18

第18回アジアパシフィック医療改革フォーラム講演会のご案内】

第18回アジアパシフィック医療改革フォーラム講演会のご案内】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●演題:アジアの医療インフラ構築を目指して
●講師:東野徹氏
     メディカルプラットフォーム社長
●講演概要
今回は、医療人のためのSNSMVC-onlineのサポートなど
ユニークなサービスを手がれられているメディカルプラッ
トフォーム社 http://www.medical-platform.jp/
社長の東野徹氏をお招きしてアジアの医療インフラ構築を
目指してというテーマでお話しいただこうと思います。

  メディカルプラットフォームは2005年6月に設立。
従業員数は20名。同社は、医者のみに限定した
SNSMVC-online」
http://www.mvc-online.jp/
医療機器メーカー対象の動画技術マッチングサイト「Do-Ma」
などの展開にユニークさを発揮しており、社会からの関心を
集めています。今回は、起業の経緯、事業の概要、ビジネス
モデルを中心に、「起業後半年は自身の給料がなく、給料が
8万円の時に、ご結婚された」という苦労話から、さらには
アジアの医療インフラという観点から、その現状と同社の世
界規模の将来像とについてという国際的な視野でのお話もお
伺いできるようです。

 気軽な形でwebと医療の可能性につきまして氏とともに皆さ
まとお 話できたらと思っております。是非奮ってご参加くだ
さい
●講師略歴
神戸大学経営学部卒。メーカーにて法人営業、経営企画室、
ロンドン支店勤務を経て退社。その後早稲田ビジネススクー
ル在学中に起業。現在に至る。
●日時:2010 年10月1日(金)
●スケジュール:
19時00分〜 受付開始
19時30分〜19時40分 開会挨拶/講師紹介
19時40分〜20時30分 東野氏ご講演
20時30分〜20時45分 質疑応答
21時00分〜 懇親会 かくれ伽 御茶ノ水
http://www.sankofoods.com/shop/kakurega/k_shop01.html

●場所:東京医科歯科大学付属病院 臨床講堂(A棟:地下一階)
救急入り口から(救急入り口は、地下一階です)
http://www.tmd.ac.jp/med/ped/patient/hospitalization/images/vol_recruit_05.pdf
文京区湯島1-5-45
御茶ノ水駅下車 JR総武線御茶ノ水橋口)徒歩5分、
東京メトロ丸ノ内線(医科歯科口)徒歩3分
●会費:社会人1000円、学生500円(懇親会別途 4000円程度)
●参加申し込みフォーム
http://tinyurl.com/23gnol
●主催:アジアパシフィック医療改革フォーラム
(代表 井手祐二)
●共催:東京医科歯科大学 疾患生命科学研究部 オミックス医療
報学講座(教授 水島洋)

在宅医療が日本を変える」    −キュアからケアへのパラダイムチェンジー

介護保険は導入後10年が経過し、多くの人が恩恵を
蒙ると共に、必要な介護が受けられない人たちがいる
こともわかってきました。
 そこで、介護のあるべき方向性を市民の皆様と一緒に
考える為、下記の市民フォーラムを行うことにしました。
多くの方々の参加と率直なご意見をお待ちしています。

 とき   10月17日(日)13:30〜16:00
 ところ  パレア 9階 第1会議室
 内容  ○ 講演
        「在宅医療が日本を変える」
        −キュアからケアへのパラダイムチェンジー
        講師  中野一司 氏
         ナカノ在宅医療クリニック院長
         鹿児島大学医学部臨床教授
         全国在宅医療支援診療所連絡会ITコミュ
         ニケーション局長
      ○ フォーラム
        「介護保険の在り方」アンケート結果報告
        講師を交え討論
 資料代 500円

 主催 NPO法人くまもと地域自治体研究所・介護保険
     問題研究会
     熊本県民主医療機関連合会
 連絡先 電話&FAX 096−383−3531

 参加希望の方は、氏名、所属、人数を上記連絡先に
 FAXして下さい。

「中原支援の会」 最後の総会・シンポジウムの御案内

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最高裁で本年7月異例の和解をもって終結した中原過労死訴訟。
7年に渡った裁判と支援運動を振り返り、その意義を考えます。
「小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会」
最後の総会・シンポジウムの御案内です。
ぜひご出席ください。(転送歓迎)
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◆日時:10月16日土曜日
午後4時〜6時半:総会・シンポジウム
午後7時〜9時:懇親会

◆シンポジウム内容
「医師と患者のいのち守るために:中原裁判の意義と日本の医療(仮題)」

★シンポジスト(順不同、敬称略)
・植山 直人:全国医師ユニオン代表
・阿真 京子:『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会代表
・川人 博:訴訟担当弁護士
・中原 のり子:訴訟原告、薬剤師
・千葉 智子:訴訟原告、小児科医師
・川井 猛=司会兼務:ジャーナリスト

◆会場:ホテル銀座ラフィナート(http://www.raffinato.jp/)

7階「月光]=総会・シンポ/「日光」=懇親会
中央区銀座1-26-1 電話03-3564-0888
都営浅草線宝町駅A1番出口から徒歩1分。
有楽町線銀座一丁目駅7番出口、新富町駅2番出口から徒歩3分。
銀座線京橋駅2番出口から徒歩5分。
JR有楽町駅から徒歩10分。

◆参加費
総会・シンポジウム:無料
懇親会:5,000円

◆申し込み:9月30日(木)締め切り

参加希望者は、下記サイトからお願いします。
https://sites.google.com/site/nakahara20101016/1016sympo

なお、電話、ファックスでの申し込みも受けつけます。
電話:090-6133-0090
ファックス:03-3552-2888

なお、参加希望者が定員を超過してしまった場合に、
締め切り前に参加申し込みを終了する場合があることをご了承下さい。

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