生保大手、国会議員を10段階に格付け 支援に差つける

生保大手、国会議員を10段階に格付け 支援に差つける
2010年8月7日3時0分
http://www.asahi.com/national/update/0806/TKY201008060445.html?ref=goo
 生命保険業界で政界担当を担う大手4社が、親密度に応じて国会議員を10
段階にランク分けし、議員側のパーティー券を購入する際の目安にしていたこ
とが分かった。業界が関係する政府や国会の役職に就いていることなどが重視
され、このランク分けに沿って組織的な選挙支援も展開していたという。

 保険金不払い問題をめぐり2007年5月に衆院財務金融委員会で行われた
参考人招致で、生保側への質疑時間が短縮された経緯が、今月3日の財金委で
問題化。生保業界からの働きかけがあったかなどを解明するため、日本生命
第一生命、明治安田生命住友生命の大手4社の社長らの参考人招致が検討さ
れている。

 生保の内部資料や生保関係者の話によると、08年度時点で国会議員のラン
ク分けは、「1―A(主要議員)」「2―A(友好議員)」「2―B(友好議
員候補)」「3―A(ポスト議員)」――など10段階で、国会議員124人
を分類している。業界への理解や協力の度合い、今後の協力への期待度などに
応じたランク分けで、各ランクごとに取り組み姿勢やパーティー券対応が細か
く定められている。

 1―Aに該当するのは12人。いずれも当時与党の自民党議員で、「緊密な
関係を維持し、更なる理解を深める」と取り組みの姿勢を明記している。3―
Aは自民、民主、公明各党の計17人としていた。

 ランクごとのパーティー券の購入額については、議員の貢献度や将来性を見
極めながら、各社が相談して方針を決めていたという。2―Bは「協議のうえ、
親密度合いの高まりによっては増額」、3―Aは「重要ポストに就いている期
間に限り特別対応の検討も可」。パーティー券対応を通じて議員との関係を深
めていく狙いがあったとされる。1―Aにランクされたある議員の場合、大手
4社幹部との親睦(しんぼく)ゴルフと懇親会が開かれた際に、4社側がパー
ティー券購入額を決めたこともあったという。

また、業界とのトラブルや反業界的な発言があったとする「論客議員」に対し
ては「(パーティー券購入は)原則として対応しない」。「落選議員」は、復
活の可能性を見極めつつ「関係を維持する場合でも議員当時の7割限度」との
方針を示していた。

 パーティー券購入をめぐっては、第一生命が07年4月〜08年3月に国会
議員44人側の券購入費として1千万円以上を支出していたことが判明してい
る。このうち当時、現職大臣や衆参財金委委員だった議員は少なくとも計6人
に上った。第一生命以外の大手3社もパーティー券を購入しているという。

 一方、このランク分けに沿って、選挙の際の後援会名簿の提出や生保の地方
支社での集会準備、動員など、選挙支援の程度も決めていたとされる。

 ランク分けや選挙支援について、日本生命は「個別の国会議員への対応につ
いてはお答えを控えさせていただきます」、第一生命は「個別の議員にかかわ
る事案についてはお答えを控えさせていただきます」、明治安田生命は「政治
とのかかわりにつきましては法令に従い適正に対応しています」、住友生命
「具体的もしくは個別の事案にかかる回答は差し控えさせていただきます」と
回答している。


生保4社長らの参考人招致を検討 質問短縮疑惑めぐり2010年8月3日20時56分
http://www.asahi.com/national/update/0803/TKY201008030412.html?ref=goo

 生保業界による政界工作疑惑が3日の衆院財務金融委員会で取り上げられ、
財金委理事会が、当時の財務相や財金委理事などの役職にあった自民党の議員・
元議員4人と日本生命、第一生命、明治安田生命住友生命の大手生保4社の
社長について、参考人招致を検討することになった。

 この日の委員会では佐々木憲昭議員(共産)が、2007年の財金委での参
考人招致で生保側の質疑時間が短縮されたことについて質問。いずれも当時財
務相の尾身幸次自民党幹事長代理の石原伸晃自民党金融調査会長の金子一
義、財金委理事の山本明彦の各氏に対し、生保業界から働きかけがあったとの
疑いを指摘し、4氏と生保4社社長の参考人招致を要求。海江田万里委員長は
「理事会で協議する」と検討する考えを示した。

 疑惑について、野田佳彦財務相は「現実に起こったことなら許せない」と答
弁。07年当時財金委の野党筆頭理事だった池田元久財務副大臣も「働きかけ
によって国会審議がゆがめられたとすればゆゆしきことだ」と答えた。