“三次喫煙”が発がん性物質を形成

Medical Tribune [2010年3月25日(VOL.43 NO.12)]に、以前話題になった三次
喫煙のことがありましたので、紹介します。

“三次喫煙”が発がん性物質を形成

〔ワシントン〕ローレンスバークレー米国立研究所(カリフォルニア州バーク
レー)室内環境部のHugo Destaillats博士らは,近年“三次喫煙”(third-hand
smoke)とも呼ばれる,日常接するものの表面にたばこの煙からの残留物が存在
することにより,室内空気に存在する化学物質とその残留物が反応し,強力な発
がん物質となりうるとProceedings of the National Academy of Sciences,
USA(PNAS,2010; オンライン版)に発表した。
同博士らは,室内空気内に含まれる大気汚染物質の亜硝酸(HONO)に曝露され
たニコチンの動態を調べ,HONOとニコチンの化学反応が健康に重大な悪影響をも
たらす可能性のあることを指摘した。同博士らは,セルロースに吸着されたニコ
チンをモデルとして調べ,喫煙者が運転する車内のインテリアを分析した。その
結果,ニコチン残留物は直ちにHONOと反応し,たばこに特異的なニトロソアミン
が形成された。
このようなニトロソアミンのうちのいくつかは,突然変異原性を示すことが動
物実験で示されており,既知の発がん物質として同定されたものもある。
ニトロソアミンの室内での安定性を検討した結果,たばこの煙が沈着してから
2時間以上経過しても,完全に分解されるのは50%未満であることがわかった。
同博士らによると,ニトロソアミンに曝露される経路として最も考えられるの
は,衣類,皮膚,家具などの表面やほこりとの接触を介してであり,乳児や幼児
は成人よりもニトロソアミンに曝露される量が多い可能性があるという。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43120053/