スタッフの一工夫で人気歯科医院に モリタメールマガジンより

深町 厚子 先生

日本女子衛生短期大学(現・湘南短期大学)保健科卒。

□スタッフの一工夫で人気歯科医院に           深町 厚子 先生
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 第4回 診療室をきれいに保つ一工夫
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 歯科衛生士の仕事のひとつに「院内感染対策」があります。

 清潔・不潔の認識はできていますか?

 学生時代、細菌学の最初の講義で「今日からみなさんは雑巾がけをするときも、
 一般の人と違うことを意識してください」といわれたことが、今になってよく
 わかってきました。

 とはいっても、学生時代に実習で厳しく指導されたことも、次第に「わかって
 いるけど、面倒で……」になっていませんか?

 と、厳しい話になってしまいましたが、今回は、細菌学レベルの清潔・不潔対
 応ではなく、患者さんに快適空間を提供する「掃除」レベルの一工夫のご提案
 です。

 ≪水回りをきれいに保つ≫

 ・手指の消毒、器具の洗浄と、水回りは仕事をする上で常に使っています。

 油断するとすぐに水垢がついてしまいます。

 そこで、掃除用スポンジ・メラミンフォーム(商品名:激落ちくん)をシンク
 近辺、もしくはシンク内面に吸盤で貼り付けておきます。

 そして、汚れていると思ったら、その場でさっと掃除しましょう。

 手間がかからないと汚れもたまりません。

 また、スポンジもメラミンフォームもカットして使い、こまめに取り替えてく
 ださい。

 ・お酢スプレー:お酢を希釈(2〜5倍)してスプレー容器に入れます。

 汚れに気づいたら、シンク周りに噴霧し拭き取ります。お酢は酸性なので、水
 垢・石鹸カスなどのアルカリ性の汚れを中和する効果があるそうです。

 また、雑菌の繁殖を防ぎ、消臭効果も期待できるとのことです。

 もし、お酢のにおいが気になるようなら、においの少ない製品もあります。

 これもシュッとするだけの簡単掃除なので、誰でも続けることができますね。

 ≪拭き掃除≫

 消毒用アルコールをスプレー容器に入れます。

 小さくカットした不織布を用意します。

 ユニット、患者さん用スリッパ、ドアノブ、鏡、キャビネット、棚など、気に
 なるところをこまめに掃除しましょう。

 このアルコールスプレーに、アロマテラピーのレモン、ティトリー、ベルガモ
 ット、ペパーミントなどの精油を数滴たらすと、消臭効果などが期待できます。

 ≪グローブの使い方≫

 朝からずっとグローブをしたまま、仕事をしていませんか?

 もちろん、「取り換えています!」というのでしょうが、患者さんには伝わっ
 ているのでしょうか?

 掃除のときもスケーリングのときも、見た目が同じグローブでは患者さんは不
 安になると思います。

 私は、処置をする直前に患者さんの目の前でグローブをするように心がけてい
 ます。

 指導する、業務記録を書く、問診する、受付業務をするなど、清潔域での仕事
 では必ずグローブをはずします。

 できれば、掃除のときは見た目に違いがわかる掃除用グローブを用意すること
 をおすすめします。

 院内感染対策はとても大変です。

 でも基本は清潔を保つ、汚染を広げないことだと思います。

 まず、掃除をきちんとすること、清潔不潔の意識をスタッフ全員でもつことが
 大切です。

 「水回りの掃除からグローブの使い方? 関係ないよね?」と思われた方もお
 られると思いますが、お伝えしたかったことは「患者さんは見ています!」と
 いうことです。

 それが診療室全体の評価につながっているのですよ。