高点数、イコール悪ではない、正々堂々と指導を受けてほしい m3.conより

8/17号 「高点数、イコール悪ではない、正々堂々と指導を受けてほしい」

2010年08月17日

 「なぜ指導を受けることを、そんなに気にされるのか。何も悪いこ とをやっていないのであれば、正々堂々と指導を受けていただきたい。『(指導に)入られること自体、嫌だ』とも言われるが、私たちに言わせていただければ、ありのままを見せてもいいのでは、ということ」

 こう語るのは、保険診療に関する指導・監査を担当する、厚労省保険局医療指導管理官の向本時夫氏。7月22日に行われた厚生労働省の「政策コンテスト」で、81件の応募から第一次選考を通過した7件のうち2件が向本氏の提案でした(『厚労省の“Gメン”、「医療機関への指導監査部門の統合」を提案』を参照)。

 指導・監査の充実強化、あるいは医療機関への調査等の効率化を目指す提案をした理由を向本氏にインタビューしたところ、「我々が手を出したくても、出せないようなところもある。 医療法人の経営者あるいは理事には、医師でない人もおり、医師がその『雇われ』になっているケースもある。医師がきちんとやろうとしても、その上にいる人がいろいろ画策する」(向本氏)といった現状があるとのこと。

 やや歯切れの悪い表現ですが、確かに毎年、不正請求で保険指定が取り消される医療機関があるのは事実であり(厚労省のホームページを参照)、それを放置すれば世間から厚労省が非難を恐らく受けると考えられます。

 しかし、一方で、「全体で見ればすばらしい先生方、医療機関が大半」(向本氏)なのですから、真面目に診療している医師にとっては、向本氏が問題にするような、「不正請求が疑われる医療機関」と一緒に指導の対象となるのは、精神的にもつらいことです。とはいえ、指導の対象機関を選ぶ「入り口」の部分で、不正請求の疑いの程度で医療機関を選別することも難しいとのこと。

 そのほか、指導に対しては、「レセプト点数が高い上位8%」を対象に集団的個別指導を実施し、高点数が続けば個別指導の対象になる仕組みに関する批判も少なくありません。

 この点について、向本氏は、制度を決める立場ではないため、「それについて答える立場にない」としつつ、「『高点数、イコール悪』という認識を持っている方々がいるが、点数が高いだけで、『悪』というわけではない。すべての医療機関を指導することができない中で、恣意的な要素を排除するために、『高点数』という指標を用いている。もっといい方法があれば、教えていただきたい」と述べています(下記の Vol.4の記事に掲載予定)。

 指導・監査の担当者が現状をどう捉えているかを知る貴重なインタ ビューですので、ぜひ下記をお読みください。

 また現在、m3.com会員を対象に実施した、指導に関する調査を連載しています(『集団的個別指導・集団的個別指導、平均点数・対象時期「提示なし」多数』などを参照)。さらに、医師会関係者が指導の問題をどう捉えているかについても取材を進めていますので、引き続き掲載していきます。