訪問看護の一人開業の解禁に反対―三上裕司常任理事

・第2回チーム医療推進会議 議事録 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000s0f6.html

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◎定例記者会見◎
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訪問看護の一人開業の解禁に反対―三上裕司常任理事

 三上裕司常任理事は、9月15日の定例記者会見で、平成22年9月10日に閣議
決定された「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」の中に、規制・制
度改革事項として取り上げられた、「訪問看護ステーションの開業要件の緩和
(一人開業の解禁)」について、日本医師会として反対する姿勢を示した。

 同常任理事は、反対する理由として、以下を述べた。

 (1)現在、訪問看護ステーションについては、小規模な事業所ほど経営状況が
悪く、夜間・緊急時等の対応ができないなど、サービスを安定的に供給できて
いない状況にある。

 (2)特に、夜間や緊急時の対応については、他の業務に対応している場合や、
病気等により休暇を取得している場合などに必要なサービスが提供できず、そ
の結果、利用者に悪影響を及ぼすおそれがあること等への配慮が必要である。

 (3)医療・介護・生活支援サービスを包括的に提供し、24時間365日を通した
緊急時の対応が可能な地域包括ケアシステムの構築が現在求められており、地
域包括ケア研究会の報告書にも書き込まれているが、訪問看護はその中核的な
役割を果たすと考えられ、訪問看護サービスの安定的な供給が必要である。

 また、三上常任理事は、仮に訪問看護ステーションの一人開業が認められた
場合であっても、「看護師一人で医療ニーズの高い利用者を支えることは、負
担が大きい」「事務負担や経営上の問題のため事業所の維持が困難である」等
の理由から事業所の廃止が増え、結果として、現場から遠ざかっている潜在看
護師の雇用創出にはつながらないとの考えを述べた。

 今回のことについて、三上裕司常任理事は、「安易な開業を認めることは、
問題の多い看護師の一人開業を促し、結果として訪問看護サービス整備促進に、
負の影響を与えかねないと危惧している。配置要件の緩和ではなく、まずは、
サテライト事業所等仕組みを周知し、拡充していく形で訪問看護サービスを広
げていくことが肝要と考える」と述べた。

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安易な解禁は負の影響」、訪問看護の“―人開業”を批判ー日医

 看護師の配置を1人でよいとする訪問看護の「一人開業の解禁」を政府が検
討していることについて、日本医師会の三上裕司常任理事は9月15日の定例記
者会見で、「安易な解禁は負の影響を与える」として反対する考えを表明した。

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24時間訪問看護の調査研究開始へ―全訪看

 訪問看護の一人開業は、政府が10日に閣議決定した追加経済対策に盛り込ま
れた訪問看護ステーションの人員基準(常勤換算2.5人以上)の緩和に含まれ
る検討案件。今年度中に実現可能性を検討して結論を出すことになっている。
ステーションがない市町村が約3割という現状を改善し、潜在看護師の雇用を
促進する狙いがある。

 三上常任理事は訪問看護の一人開業に反対する理由として、「小規模な事業
所ほど経営状態が悪く、夜間の緊急対応ができないなど、サービスの安定供給
が難しい」と指摘。仮に一人開業が認められても、「医療ニーズの高い利用者
を支える負荷は大きく、事務負担もあり、事業所の維持は困難」とした上で、
「事業所の廃止が増えて潜在看護師の雇用創出につながらない。安易な開業を
認めれば、問題の多い事業所を増やして負の影響を与える」と述べた。

 一方、三上常任理事は伸び悩む訪問看護ステーションの整備や潜在看護師の
雇用創出のための施策として、政府が在宅医療・介護の政策で重視する24時間
365日対応が可能な「地域包括ケア」の考え方を支持。その実現に向けて、ま
ずは訪問看護ステーションの「サテライト事業所(出張所)の仕組みを周知し、
拡充していくことが肝要」とした。

( 2010年09月15日 18:43 キャリアブレイン ) --------------------------------